サプライ
チェーン

私たちは流通の発展により地域の特徴的な農産物や木工品、伝統工芸品、地場特有の製品を手にすることができるようになりました。しかしながら、しばしば価値を判断するために必要な文脈や知識、例えば生産過程の物語,生産地の風土や歴史,生産者にまつわるエピソードなど、本来であれば消費者が価値を見出すことができるはずの地域資源に付帯する文脈や知識が、流通過程において大幅に失われており,その結果、価格情報や外観に代表されるごく一部の知識のみに基づいて、購入の意思決定を強いられています。
この要因の一つに、流通のシステム化による画一的な情報発信になってしまい、かつてはバイヤーの目利き力、企画力が消費者に様々な情報を提示していたが、流通や小売のオペレーションの効率化を優先してしまったために失われていることがあると我々は考えます。

今までの流通にとらわれず、【作り手】が創出した価値に応えた対価をもたらすことのできる新しいサプライチェーンを【作り手】と流通や小売の側が直接手を取り合って地域資源に付帯する価値も流通させる機能を創造します。

  • サプライチェーン実例

株式会社キャライノベイト

香料製造メーカーは国内に多く存在し、その差別化を図るうえで重要なことは「モノの価値を伝える」ことである。一般企業が行う一方的な利益追求のための大量生産大量消費に対する事業活動は現在主流のSDGsの要素を鑑みても適さず、また消費者の支持も得られない。当社では地域資源により密着し、高品質かつ永続的なモノづくりを行うことを前提としてプロジェクトを組む。その手法として当社が考案した「4つの場」を地域コミュニティに提供する点に本提案の新規性がある。
既存の「生産の場」に加えて、伝統工芸や地域に付帯する知識を発信する「発信の場」、直接生産者の声を伝える「販売の場」、生産者以外のサプライチェーンに関わる人や消費者が生産の場に集うオープンな「休息の場」を実証企業①と連携しながら形成し、生産者から消費者までが連動する新たなサプライチェーンを構築する手法である。すでに農産物では有益な結果を得ている手法である。”
日本では戦後、鉄道や飛行機が人の行動範囲を大きく変えた。さらに通信技術の進化は人々のコミュニケーション手段と頻度を大きく変化させた。流通を作るのは人の流れであるが、現在のDX技術は高速通信品質の向上等により、人の移動や場所にとらわれないビジネスを展開可能とする新しいステージを社会にもたらした。当社の顧客を例にとるとデジタル化が進む一方で実際に手に触るということが非常に価値が高い経験へと変わってきており、リアルの良さが引き立つ現象が起きている。実証企業④の伝統工芸を見据えたデジタル人材を上述の4つの場に配し、生産者たちが自分たちの手で本来の価値を伝えるためにデジタル技術を駆使することで大手企業と同等に渡り合うことが可能となる。したがって、デジタル技術を併用しながら当社が提供を既に始めている顧客への経験価値を伝統工芸の生産従事者にフィードバックすることが有効だと考えている。

現在の既存サプライチェーンの限界
多くの地域資源を支えている産業は大きな需要を持っているところが多いが、需要と供給のバランスをとるため価格競争やそこの組織を守るためのルールをたくさん作り、そこの流れに乗らない事はやらない暗黙のルールがある。
そこはそこで地域資源の重要な収入源である事には変わりわないし、大事なお客様である。
しかし、需要と供給のバランスが崩れているところで戦っていく事は、非常にパワーを使う事である。
そのパワーを少しでも新しいサプライチェーンに向ける事で、新たな需要は生まれ来る。
私たちは、作りてと手を取り合い、より情報を発信する事で、多くの人々がその資源を知る事となる。その地域資源にかかわる人々の気持ちが伝わる事で、きっと新しいサプライチェーンの道が形成されてくる。